📄 作品概要
アルゴリズム百合――恋だけが、最適化できない。 思考も、選択も、感情さえも。すべてをやさしく肩代わりするデバイス「MAYO」が普及した世界。 迷いは消え、間違いもなくなったはずだった。 それでも。 彼女の体温に触れるたび、 説明できないズレが、胸の奥に残る。 彼女の息がかかるたび、 湯船の中で肩が触れる。 電車の中で指先が重なる。 ベッドの上で、呼吸だけが近づいていく。 その届かなさが、 むしろ、強く引き寄せてくる。 レンと夏帆。恋人同士のふたり。 肩が触れる。指先が重なる。 呼吸が、少しずつ混ざっていく。 けれど。 ぴたりとは合わないリズム。 わずかに遅れる鼓動。 一瞬だけ、引き離される感覚。 その小さなズレが、次の一歩を、ためらわせて ――...